【中小企業診断士】独学で一発合格! 勉強法:二次試験の筆記編(与件整理)

はじめに:与件整理が差をつける鍵になる理由

「いつもキーワードを拾い損ねる」「与件文を読むのに時間がかかる」――こうした悩みは、与件整理力が未熟であることに起因しています。中小企業診断士の2次試験では、あなたのアイデアよりも「与件文から論理的に導ける内容」が重視されます。「与件文にないこと」を書いても得点対象にはなりません。

だからこそ、与件文の情報を効率よく整理して、設問ごとに使えるキーワードを引き出す力が不可欠です。この記事では、まず「キーワードを拾うコツ」「出題者の意図を読み取る視点」「効率的な読む技術」、そして「拾ったキーワードの整理術」を段階的に解説します。ぜひ日々の演習のお供にしてください。

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1.キーワードを拾うコツ:読む前から意識する仕掛け

1-1 “何を拾うか”を意識してから読む

ただ漫然と与件文を読むのは「宝の地図を持たずに探検するようなもの」です。まず設問文を見て、「この設問で求められている情報は何か?」を仮定してから与件文に臨みましょう。例えば、「代替わりまでの成長要因は?」という設問なら、「代替わりまでに実施された施策」「その施策の効果」を意識して探します。設問→与件を行き来することで読み漏れを防ぎます。

1-2 拾いやすいキーワードから拾って“消す”

キーワードを拾ったら、線を引いて“消す”ことを習慣にしましょう。こうすることで、拾った箇所と未読の箇所が視覚的に分かれ、同じ場所を何度も読むことを防げます。最初は目立ちやすい箇所(金額・数値・対比語・因果関係を示す接続詞など)から拾い、対応済みとして消す。これを繰り返すことで、時間効率を高めながら拾いモレを減らせます。

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2.出題者の意図を与件で読む視点

設問の意図は設問文だけでなく、与件文にもヒントがあります。特に以下の観点を意識すると効果的です。

2-1 “わざわざ付け足された文章”を見る

与件文内に、「なお」「しかしながら」「〜していない」など補足・逆説的に付け加えられた文章は、出題者が受験者に注目させたい箇所である可能性があります。例えば「X はまだ未導入である」といった記述があれば、将来施策や改善提案の論点になり得ます。

2-2 経営課題を読む

与件文全体のテーマをつかむには、「経営課題」を押さえることが有効です。文章中に「課題」「〜に苦慮している」「〜が阻害要因」などのワードがあれば、それらをマークしておきます。全体の文脈で課題を意識することで、設問間の整合性を持たせやすくなります。

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3.効率的に読む:斜め読み+マークアップでスピード化

3-1 ざっと読む → マークをつける

与件文は2000〜3000字と長文なので、初見では細かく読むより、まず「どこに何が書いてあるか」の見当をつけます。設問文を読み終えた後、5分程度で与件文を斜め読みし、重要そうな箇所にマークをつけておきましょう。例えば:

  • 経営課題 → ☆
  • 問題点 → △
  • 補足/逆説表現 → ○
  • 対応設問番号 → “Q2” など横に書く

こうしておくと、後から読むときのガイドになります。ただし、マークに時間をかけすぎると逆効果になるので要注意です。

3-2 設問との対応付け

与件文の段落余白には「Q番号」を書き込み、設問との対応を視覚的にリンクさせましょう。例えば「第2問に関係しそうな段落には ‘Q2’」と付記しておくと、設問解釈と与件読解の往復がスムーズになります。前半の情報が複雑な場合は「環境」「課題」など大まかなテーマをメモしておくだけでも構いません。

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4.拾ったキーワードの整理法:論点構造化で因果を浮かせる

4-1 論点を仮決め→キーワードを整理

与件から拾ったキーワードをそのまま散らかして一覧にするだけでは使いづらいものになります。まず論点(切り口)を仮決めし、それに紐づけてキーワードを整理しましょう。例えば、「収益性向上策を聞く設問」であれば論点は「売上拡大」「費用削減」など。
そのうえで、各論点に「行動」「影響」「結果」といった列を設定してキーワードを収めていくと、因果の筋道が見えやすくなります。

4-2 因果を明確にする補正

時には、初期の論点を見直す必要があります。与件から拾ったキーワードをもとに、「論点のズレ」があれば切り口を修正します。例えば、費用削減という切り口に「生産リードタイムの短縮 → 人件費低下」という構造が見えるなら、それを「D:人件費低下」の切り口として別立てするなど調整が有効です。

4-3 切り口ごとに因果構造を確認

整理した論点ごとに、因果の流れを “行動 → 影響 → 結果” の流れで眺めます。これによって、解答文章を書くときの骨格が浮かび上がります。因果関係が曖昧なキーワードは除外・統合する判断もこの段階で行います。

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5.2024年度事例Ⅲを徹底解説

こんにちは!今回は2024年度中小企業診断士2次試験、**事例Ⅲ(製造業C社)**を、ブログ調で整理しつつ、パターンA~Cの回答法と紐づけて解説します。


1. 与件文の整理(構成視点)

与件文を整理する際は、組織・取引先・工程・課題の視点で情報を抽出するのがコツです。

(1) 組織・人的資源

  • 総務部、設計部、製造部、営業部
  • 製造部:管理・資材・機械加工・製缶・組立課
  • 製缶課:フレーム、機械加工課:駆動部・搬送体を内製化
  • 社長:X社での工場レイアウト設計経験、2011年にC社設立

(2) 業績・取引先

  • 資本金5,000万円、従業員70名、年商約14億円
  • 取引先:工作機械メーカー5社、物流機器メーカー3社
  • X社案件が売上の6割超
  • 中国外注コスト上昇・納期不安定で国内受注増

(3) 受注・製造プロセス

  • 営業部が仕様書に基づき見積作成・価格交渉
  • 見積:過去契約金額ベースで現状コスト高対応不可
  • 受注後は製造番号割り振り→設計部で図面・部品構成表作成
  • 製造部で材料発注・加工・組立

(4) 課題・背景

  • 受注増・納期短縮で工程管理混乱
  • 製缶課の残業・休日出勤常態化
  • IT活用を含む改善策を模索中

ポイント:設問に対応するキーワード(強み、ボトルネック、情報共有、原価算出、営業力など)をこの段階で整理しておくと回答作成がスムーズです。


2. 設問別パターンと解説


第1問:「C社の強み」(80字) → パターンA:列挙型

パターンAは「箇条書き・並列で整理する型」です。強み・特徴・要因などを簡潔に列挙する場合に使います。

抽出ポイント

  • 社長のX社経験による工場生産性向上提案力
  • 搬送機器の一貫生産体制
  • X社案件の安定納品力・メンテナンス対応

例解答(パターンA)

「C社の強みは、①社長のX社での設備レイアウト設計経験を活かした工場生産性向上提案力、②搬送機器の設計から製造・組立まで対応可能な一貫生産体制、③X社案件における据付後のメンテナンス対応が可能な点等である。」


第2問:工程改善の進め方(100字) → パターンC:行動→効果→結果型

パターンCは「具体行動→期待効果→最終結果」を論理的に示す型。工程改善や業務改善の進め方を記述する際に有効です。

手順例

  1. ボトルネック分析(製缶課)
  2. 作業標準化・多能工育成
  3. 生産計画見直し・IT導入

例解答(パターンC)

「製造部全体の作業分析で製缶課がボトルネックと特定。①製缶工程の標準化・マニュアル化でムダ削減、②前後工程からの応援体制で負荷平準化、③生産計画の見直しやIT導入でさらなる生産性向上を図る。」


第3問:工程管理業務の改善(100字) → パターンC

工程管理の改善も行動→効果→結果で整理。

手順例

  1. 計画見直し(受注順→納期優先、大日程計画に製造部長参加)
  2. 情報共有(部品構成表・進捗データを営業・設計部門と共有)
  3. IT・PDCA導入(計画と実績を一元管理)

例解答(パターンC)

「受注順立案を納期優先に変更し、大日程計画に製造部長を参加させ全体最適化を実施。①部品構成表等のデータで見積を実績値に更新、②営業・設計部門と計画情報を共有、③ITシステムで計画と実績を一元管理し計画精度を高める。」


第4問:価格交渉の事前対策(120字) → パターンC

原価算出・見積改善の流れも行動→効果→結果で記述。

手順例

  1. 実行原価で原価算出(最新の材料費・人件費)
  2. 部品構成表活用(デジタル化で原価精緻化)
  3. 営業部で見積作成・交渉準備

例解答(パターンC)

「過去実績ではなく最新の材料費・人件費を基に製造原価を算出。①部品構成表のデジタルデータに材料・部品価格を反映、②設計部・製造部と協力して搬送機毎の原価を精緻化、③営業部はその原価に基づき見積書を作成し事前に交渉目標を設定する。」


第5問:新規事業推進策(120字) → パターンC

新規事業も、経営資源整備→強み活用→市場拡大の順で行動→効果→結果型。

手順例

  1. 設計要員配置→自社設計内製化
  2. 据付・メンテ担当配置→営業兼務解消
  3. 社長経験をOJTで営業に継承
  4. 特注品対応力を活かした新製品企画で市場拡大

例解答(パターンC)

「新規事業推進に向け、①製品仕様書・図面作成が可能な設計要員を配置し搬送機器の自社設計を内製化、②据付・メンテ担当者を確保し営業部の兼務を解消、③社長の工場レイアウト提案力をOJTで営業に継承、④特注品対応力を活かした新製品企画で直接契約先を拡大する。」


まとめ(パターンA~Cの活用法)

設問回答型ポイント
第1問パターンA強み・特徴の列挙型
第2問パターンC行動→効果→結果型(工程改善)
第3問パターンC行動→効果→結果型(工程管理改善)
第4問パターンC行動→効果→結果型(価格交渉準備)
第5問パターンC行動→効果→結果型(新規事業推進)
  • パターンA:列挙型、短文で要素を箇条書き
  • パターンB:比較・対比型(今回は使用なし)
  • パターンC:行動→効果→結果型、改善・推進・提案系で有効

この記事を参考に、設問タイプに応じてパターンを選ぶだけで、論理的で読みやすい回答が作れるようになります。

6.まとめ:与件整理力を本試験で使える技にするために

  • 設問を読む前に“何を拾うか”意識して与件文に臨むことで、読み漏れを防げます。
  • 拾ったキーワードを「消していく」工程を取り入れると、時間効率が上がるとともに重複読みに陥りにくくなります.
  • 付け足された表現や課題語に注目することで、出題者の意図を読み取りやすくなります。
  • 論点を仮決めして、因果構造を整理することが、解答に説得力を持たせる鍵です。
  • 練習では必ず「整理 → フレーム → 解答文章」の順を踏み、時間を計って実践することをおすすめします。

このスキルが定着すれば、与件文に振り回されることなく、自信をもって設問対応できるようになります。ぜひ、日々の過去問演習でこの方法を実践しながら、自分の型を磨いてください。

               榎本雄介
               

中小企業診断士 Eno(登録番号:429629)

中小企業診断士です。金融機関で働きながら、独学で1次・2次共に1回、1年で2024年度に合格しました。
実務従事を経て、2025年8月より中小企業診断士として活動しています。
独学で1次・2次試験を突破するためのノウハウを発信しています。皆様のご参考になれば幸いです。

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