こんにちは。
今年(令和7年度)の中小企業診断士二次試験・事例Ⅰを受験された皆さま、本当にお疲れさまでした。
本記事は、私が以前に公開した「事例Ⅰ出題予測(こちら)」の内容と、実際の本試験問題を照合し、
「どこまで当たっていたのか?」「どこがズレていたのか?」
を冷静に分析していきます。
結論から言うと――
「BtoC展開」「後継者」「理念再定義」の3本柱はほぼドンピシャ。
全体として “的中率 8割クラス” の結果だったと考えています。
1.2025年度 事例Ⅰの出題概要
今年の事例Ⅰは、木材加工業 A社 が主人公でした。
もともとは内装材などを中心とした BtoB取引がメインの会社 ですが、
そこに
- 知育玩具というBtoC新事業
- 後継者(子息)による事業リード
- 企業理念の再整理と浸透
が重なる、「いかにも事例Ⅰらしい」ストーリー構成になっていました。
ざっくり整理すると、テーマの骨格は次のとおりです。
- 第1問:SWOTによる現状整理(強み・弱み・機会・脅威)
- 第2問:顧客接点の構築(知育玩具事業のチャネル・プロモーション)
- 第3問:新事業を支える組織体制
- 第4問:理念の再定義と社員への浸透
つまり、
「BtoC展開 × 後継者 × 理念 × 組織」
という、事例Ⅰの王道4点セット が
教科書的な流れで出題された年だったと言えます。
2.予測内容と実際の出題の照合結果
予測記事では、2025年度の事例Ⅰについて、ざっくり次のように書いていました。
- 「木工・地域資源活用」「BtoC転換」「後継者登場」
- 「理念の再定義・共有」「組織再編・人材育成」が軸になりそう
- 設問構成は「SWOT → 顧客接点 → 組織 → 理念」の流れ
実際の本試験問題と照らし合わせると、イメージはこんな感じです。
- 業種設定
- 予測:木工・地域資源活用型の中小製造業
- 実際:木材加工業(内装材 → 知育玩具)
→ ✅ ほぼ一致
- 主題(ストーリーライン)
- 予測:BtoC事業展開、後継者登場、理念再定義
- 実際:同じく「BtoC進出」「後継者主導」「理念の再整理・浸透」
→ ✅ 完全一致
- 経営課題
- 予測:組織再編・人材育成・事業承継
- 実際:組織体制と理念浸透、既存事業とのバランス
→ ✅ 方向性バッチリ一致
- 設問構成
- 予測:SWOT → 顧客接点 → 組織 → 理念
- 実際:まさにその構成
→ ✅ 構造レベルで一致
- 追加要素
- 予測:地域資源活用までは想定
- 実際:「木育」「教育機関連携」といった教育・社会文脈との結びつき
→ △ ここは新要素(読み切れなかった部分)
総合すると、
「業種」「主題」「設問構成」の3点はほぼドンピシャ。
一方で、「木育×教育連携」という社会的テーマの深さ までは
読み切れなかった、というのが正直な評価です。
3.設問別に見る的中ポイント
ここからは、事例Ⅱの記事と同じように、
各設問ごとに「予測と実際」を照合していきます。
第1問:SWOTによる現状把握(完全一致)
予測:
「第1問は環境分析(SWOT)型で来る可能性が高い」
実際:
「A社の現状についてSWOTの観点から整理せよ」
→ ✅ 形式・内容ともに完全的中。
特に与件文では、
- 木材加工技術・地域ネットワーク → 強み
- BtoC経験不足・情報共有不足 → 弱み
- 教育機関連携・知育玩具市場 → 機会
- 低価格競合・既存顧客離れ → 脅威
といった形で、教科書どおりの材料が並んでいました。
対策上の意味合いとしては:
「初問SWOT」を想定して過去問演習をしていた受験生はここでしっかりリードを取れたはず
と言ってよい内容だったと思います。
第2問:顧客接点の構築施策(完全一致)
予測:
「BtoC新事業の顧客接点・チャネル戦略が出る」
実際:
「顧客との接点をどのように構築していくか?」
→ ✅ BtoC事業の入口設計という意味で、ここも完全一致。
オンライン(SNS・Web)、オフライン(イベント・展示会・工房見学)を
どう組み合わせて “知育玩具のファン” を増やすか、が問われました。
これは、近年のキーワードである
- 顧客共創
- 体験価値(CX)
- ストーリー発信
とも非常に相性がよく、
予測時に想定していた「顧客接点の多層化」という方向性とピタリ合致しています。
第3問:組織体制の構築(完全一致)
予測:
「新事業を支える組織体制・人事制度が問われる」
実際:
「A社が採用すべき組織体制とその理由を述べよ」
→ ✅ ここもド真ん中。
ポイントは、
- 既存事業(内装材)と新事業(知育玩具)の 両立
- 後継者を中心とした 新事業チーム
- 部門間の 情報共有・連携強化
- 権限委譲 と 意思決定のスピードアップ
といった、「事業承継期における組織設計」 がテーマだった点です。
「後継者 × 新事業 × 組織再設計」
という近年の鉄板パターンを、そのまま問う設問だったと言えます。
第4問:理念の再定義・共有化(完全一致)
予測:
「理念・ビジョンの再構築が高確率で出る」
実際:
「企業理念をどのように再定義し、浸透させるかを述べよ」
→ ✅ 形式レベルで完全一致。
与件文には、
- 先代が大切にしてきた価値観
- 時代に合わせて変化する市場・顧客ニーズ
- 後継者が描く「地域・教育への貢献」
といった材料が丁寧に配置されており、
「理念をどう言語化し直し、それをどう現場に落としていくか」
を論理的に書けるかが、得点差を分けたと思われます。
4.ズレがあった部分と来年への示唆
ここまで読むと「ほぼ全部当たったのでは?」と思われるかもしれませんが、
ハズした部分もちゃんとあります。
それが、「木育・教育連携」という社会的テーマの深さ です。
予測時点では、
- 地域資源活用
- BtoC展開
- 子育て世帯・ファミリー層
までは想定できていましたが、
「木育」「教育機関連携」まで踏み込んだ出題 までは読めていませんでした。
ここから見えてくる、来年以降の示唆 は次の3点です。
- ① 教育×地域×中小企業
木育・食育・環境教育など、社会的文脈と企業活動の融合 が今後も来そう。 - ② 後継者の役割の多角化
単なる「承継」ではなく、
新事業開発・社会課題解決のフロントランナー として描かれる傾向。 - ③ 理念経営の一層の重視
社員・顧客・地域を巻き込む、
「語れる理念」「行動に落ちる理念」 がテーマとして強く出ている。
5.的中の背景と、今後の活かし方
今回の的中は、決して「たまたま」ではなく、
大きく次の3つの要因があったと考えています。
5-1.過去5年の出題サイクルを素直に追った
令和4〜6年度にかけて、
- 事業承継
- BtoC展開
- 地域資源活用
- 理念・ビジョン
といったテーマが、組み合わせを変えながら何度も出題 されていました。
この「サイクル」を押さえた上で、
「そろそろ 後継者×BtoC×理念 を正面から問う年が来る」
と仮説を立てたことが、今回の業種・主題的中につながったと考えています。
5-2.中小企業白書のトレンドを素直に反映した
中小企業白書では近年、
- 地域とのつながり
- 教育・子育て支援
- 社会課題への企業の関わり
といったテーマが強く出ています。
「地域資源を生かしながら、教育や次世代につながる価値をどう提供するか」
という文脈をそのまま事例Ⅰに持ち込んだことで、
木材×知育玩具×地域 という構図を事前にイメージできました。
5-3.事例Ⅰの「王道構造」を外さなかった
最終的には、ここに尽きると思います。
- 人(後継者・社員)
- 組織(体制・制度)
- 戦略(BtoC・市場展開)
- 理念(ビジョン・価値観)
という 事例Ⅰの4象限 をベースに、
「どんな業種が来ても、この4つのどこかを問われる」
という前提で予測を組み立てていたことが、
今回の「構造レベルの的中」に直結しました。
6.今後の受験対策で意識したいポイント
今回の分析を踏まえ、
来年以降の受験生が意識すると良さそうなポイント を3つだけ挙げます。
- ① 白書×過去問の横断分析
白書のテーマと、事例Ⅰのストーリーラインの「重なり」を意識して読む。 - ② SWOTから理念までの一貫構造
与件 → SWOT → 戦略(BtoC等)→ 組織 → 理念
という “一本の線” を毎回意識して解答を組み立てる。 - ③ 「後継者×新事業」パターンの深掘り
後継者が- 新事業をリードし
- 組織を変え
- 理念を再定義する
という物語は、しばらく頻出パターンとして続きそうです。
7.まとめと次回予告
2025年度の事例Ⅰは、まさに
「予測が現実になった」
とも言える内容でした。
一方で、
教育・木育・地域とのつながり といった新要素も盛り込まれており、
今後の出題の方向性を考える上でも非常に示唆に富んだ事例だったと思います。
今後は、今回の分析をベースに
「再現答案」+「80点答案の思考プロセス」
をまとめた記事も公開予定です。
👉 次回記事:
「2025年度 事例Ⅰ 再現答案&80点答案の思考プロセス」
として、
- 設問ごとの骨子の作り方
- SWOTの“削り方”
- 理念設問で差がつく書き方
を、具体例つきで解説していきます。


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