私は金融機関で中小企業向けの法人営業をしています。
外にいることが多いので、社内にずっといらっしゃる方と比較すると、アポイントの合間等、時間の融通が利きやすかったかと思います。
そのような中ではありますが、仕事をしながら工夫して勉強時間を確保し、独学で一発合格することができました。一次試験の中でも得点源だったのが「財務・会計」です。
頻出問題を分析し、テーマごとの概要をまとめてみました!ご一読ください。
(対象:2023年度〜2014年度の一次試験「財務・会計」科目過去問を分析)
| テーマ | 出題件数(約) | 備考 |
|---|---|---|
| 1. 財務諸表の基礎理解 | 30問 | B/S、P/L、C/Fの構造・意味 |
| 2. 財務比率分析・経営分析 | 25問 | ROE、自己資本比率、流動比率等 |
| 3. 原価計算・原価管理 | 20問 | 固定費・変動費、直接原価計算等 |
| 4. 損益分岐点分析・CVP分析 | 18問 | 損益分岐点、利益分岐点の計算 |
| 5. 資金調達・資本政策 | 15問 | 自己資本・他人資本の特徴 |
| 6. キャッシュフロー計算書の理解 | 15問 | 営業CF・投資CF・財務CFの区別 |
| 7. 財務計画・予算管理 | 12問 | 予算編成、管理会計の基本 |
| 8. 会計基準・税務の基礎 | 10問 | 会計原則、法人税・消費税等 |
| 9. 資金繰り・資金管理 | 10問 | 資金繰り表作成、運転資金管理 |
| 10. 企業価値評価・投資判断 | 8問 | NPV法、IRR、DCFなど |
| その他 | 12問 | 会計処理、引当金、棚卸資産評価など |
中小企業診断士一次試験の「財務・会計」分野は、企業経営に欠かせない基礎的かつ実務的な知識が問われる重要な科目です。
過去10年の出題を分析すると、企業の財務状況を正確に把握し、経営分析や意思決定に活かす能力を測るための問題が多いことがわかります。特に財務諸表の構造や意味、財務比率の計算と分析、原価管理や損益分岐点分析など、実務に直結したテーマの出題が中心です。以下、主なテーマごとに詳細な解説を行い、学習のポイントを整理します。
1. 財務諸表の基礎理解
財務諸表は企業の財政状態や経営成績を表す重要な資料です。貸借対照表(B/S)は企業の資産・負債・純資産の状況を示し、損益計算書(P/L)は一定期間の収益と費用の結果、つまり利益を示します。キャッシュ・フロー計算書(C/F)は現金の流入・流出を示し、企業の資金繰りを把握するために不可欠です。
出題では、これらの財務諸表の構造理解や相互関係を問う問題が多く見られます。例えば、「売上が増えてもキャッシュフローが悪化する理由」や「B/Sの純資産とP/Lの利益の関係」など、単なる計算だけでなく背景の理解を問う問題も増加傾向にあります。
【学習ポイント】
- 各財務諸表の基本構造と意味を体系的に理解すること。
- 財務諸表間のつながりを意識して、数字の動きの因果関係を把握すること。
2. 財務比率分析・経営分析
財務比率は企業の財務健全性や収益性、効率性を評価するための指標です。ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)、自己資本比率、流動比率、当座比率など多様な指標が出題されます。近年は単に計算するだけでなく、指標の意味や経営改善への活用方法を問う問題が増えています。
経営分析においては、単年度の比率比較だけでなく、複数年度の推移分析や業界平均との比較など、実務的な視点が重視されています。
【学習ポイント】
- 主要な財務比率の計算方法とそれぞれの経営的意味を深く理解する。
- 比率の変動要因や改善策を説明できるレベルまで理解を深める。
3. 原価計算・原価管理
中小企業の経営改善では、コスト構造の把握と管理が不可欠です。原価計算の基礎である固定費・変動費の分類から、直接原価計算や全部原価計算の違い、原価計算の手法を活用した利益管理の問題が多く出題されています。
また、原価を正しく把握することは損益分岐点分析やCVP分析の基礎となり、経営判断の重要な根拠になります。
【学習ポイント】
- 固定費・変動費の概念を明確に区別し、その経営上の意味を理解する。
- 直接原価計算と全部原価計算の違いと使い分けを身につける。
4. 損益分岐点分析・CVP分析
損益分岐点は、売上高が一定の費用を超え利益を生むポイントであり、経営の意思決定において重要です。CVP(Cost-Volume-Profit)分析は、売上高・コスト・利益の関係性を定量的に分析する手法で、多くの企業経営に応用されています。
出題では、損益分岐点売上高の計算や安全余裕率の算出、利益目標売上高の計算問題が多いです。また、複数製品の分析など応用問題もあります。
【学習ポイント】
- 損益分岐点の計算方法と意味を確実に理解する。
- CVP分析の基礎的考え方と計算問題を繰り返し練習し、応用問題にも対応できるようにする。
5. 資金調達・資本政策
企業は成長のために資金調達を行いますが、自己資本(株式発行など)と他人資本(借入など)の特徴やメリット・デメリットを理解することが重要です。出題では資本コスト、レバレッジ効果、資本構成の最適化などのテーマも見られます。
また、資金調達手段の違いが企業の財務リスクや収益性に与える影響を理解することも求められています。
【学習ポイント】
- 自己資本・他人資本の特徴を整理し、財務リスクとの関係を理解する。
- 資本コストの概念とその計算方法を習得する。
6. キャッシュフロー計算書の理解
キャッシュフロー計算書は企業の資金の流れを示すもので、営業活動、投資活動、財務活動の区分を正しく理解することが必須です。実務的には資金繰り管理や財務健全性の評価に活用されます。
出題ではキャッシュフローの分類や計算問題、また間接法・直接法の違いも問われています。
【学習ポイント】
- 営業・投資・財務の各キャッシュフローの内容を明確に理解する。
- キャッシュフロー計算書の作成方法を実務的にイメージできるようにする。
7. 財務計画・予算管理
企業の資金計画や予算編成は経営管理の基盤です。中小企業では限られた資源を効率的に活用するため、予算管理の重要性が高まっています。出題では、予算の種類、予算管理の手法、差異分析などが含まれます。
【学習ポイント】
- 予算編成の流れと主要な種類を理解する。
- 差異分析の考え方と計算問題を習得する。
8. 会計基準・税務の基礎
会計基準の基本原則や法人税・消費税の計算、税務申告の流れは実務で欠かせません。近年は税制改正もあるため最新の情報にも注意が必要です。
【学習ポイント】
- 基本的な会計原則を理解する。
- 法人税・消費税の基本的な計算方法を押さえる。
9. 資金繰り・資金管理
中小企業の存続に直結する資金繰りの問題は、資金繰り表作成や運転資金管理の理解が必須です。出題では資金不足の原因分析や解決策提案もあります。
【学習ポイント】
- 資金繰り表の構成を理解し作成できること。
- 運転資金の管理方法と問題発生時の対応策を理解する。
10. 企業価値評価・投資判断
NPV法、IRR法、DCF法などの投資評価手法は資金の有効活用を判断する上で重要です。中小企業でも新規投資判断に用いられることから、基礎的な計算問題が出題されています。
【学習ポイント】
- NPV法・IRR法の計算手順と意味を理解する。
- 投資判断の基本的な考え方を習得する。
11.まとめ
財務・会計分野は、理論と実務が密接に結びつく分野であり、中小企業診断士として経営支援を行う上での基礎体力といえます。過去10年の試験出題を踏まえると、基本知識の習得だけでなく、数値の読み取り力、分析力、応用力の養成が重要です。
試験対策としては、各テーマの基礎を固めるとともに、実務的な問題やケーススタディに触れ、単なる計算問題の枠を超えた理解を深めることが合格への近道です。


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