中小企業診断士試験に独学で一発合格したいと考えている方は多いでしょう。
私もその一人で、仕事をしながら限られた時間と費用の中で効率よく合格を目指しました。そんな中、私は、一次試験に集中していたので、二次試験の勉強期間は、一次試験の終了後、8月から10月の約2カ月半で約200時間程度でした。
独学なので情報も無く、特に何から勉強をして良いのか分からず、不安もありました。
また、勉強をしていても正解が無く、悩むことも多いかと思います。
この記事では、二次試験に独学で一発合格する勉強法のうち、特に解答プロセスについて記述しますので少しでも皆さんのご参考になればと思います!
1.はじめに ― “解答プロセス”を育てよう
「何が分からないか、そもそも分からない…」と感じたことはありませんか?
中小企業診断士の2次試験では、知識だけではなく、そこから「解答を導く手順」が非常に大きな意味を持ちます。
たとえ知識があっても、設問の意図を読み違えたり、与件から根拠を拾えなかったり、論理的につなげられなかったりすれば、得点には結びつきません。
ですから、まずは「解答プロセス(=解答を書くまでの手順)」を理解し、それを自分なりに“育てる”必要があります。
この記事では、
- 解答プロセスの具体的な手順
- すべての設問を並行して進める意義
- 解答プロセスを見直すポイント
- 総まとめ(実践しやすいチェック表付き)
という流れでお伝えします。
最後のまとめでは、学習者として意識したいポイントをぎゅっと詰め込んでいますので、何度も読み返して使ってください。
2.解答プロセスとは? 3ステップ+余裕時間
まずは、解答プロセスの「枠組み」を知っておきましょう。
これがあなたの作業の流れを支える“地図”になります。
設問解釈(10分) → 与件整理(30分) → 解答記述(30分) → 見直し(10分)
ただし実際には、特に「設問解釈」「与件整理」「解答記述」の3つのステップにおいて、合計10分を“余裕時間”として確保できるよう意識しておきます。
つまり、実質は「設問解釈 10分 + 与件整理 40分 + 解答記述 20分」の流れの中に、柔軟な余裕を残す形です。
| ステップ | 時間の目安 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 設問解釈 | 約10分 | 問われていること・制約条件をつかむ、解答の方向を仮決めする |
| 与件整理 | 約30分 | 与件文から根拠を拾い、解答の材料を整理する |
| 解答記述 | 約30分 | 整理した情報を文章にまとめ、因果が伝わる形にする |
| 見直し(余裕時間) | 約10分 | 誤字脱字・論理の飛躍・抜け漏れをチェックする |
この流れを頭に入れた上で、各ステップの進め方を詳しく見ていきましょう。
ステップ 1:設問解釈(10分)
やるべきこと
- 設問文を丁寧に読む
- 制約条件をきちんと確認する
- 解答の「切り口(枠組み)」を仮に置く
ポイント
- 制約条件を見逃さないこと
設問には「○○の観点で」「○○以外で」などの条件が含まれていることがあります。
これを無視して書くと、評価者から「設問を読み切れていない」と判断されてしまいます。 - 切り口を仮置きする
設問の意図を元に、解答の“骨格”を先に仮置きします。
この切り口は、後で与件整理や記述をする際の指針になります。
例題で確認
C社の既存製品の販売数量は減少傾向にあり、さらに既存顧客から製品単価の引き下げ要求がある。
これを克服して収益性を高めるには、中小企業診断士としてどのような方法を提案するか。
ただし Y社との新規取引以外で。140字以内で述べよ。(出典:H24 事例3 第4問)
この問題では、
- 制約条件:Y社との新規取引以外で提案
- 仮の切り口:行動(提案) → 影響 → 結果(収益性向上)
といった枠組みが考えられます。これを基点に、次のステップで材料を集めていきます。
ステップ 2:与件整理(30分)
設問解釈で仮置きした切り口に沿って、与件文から根拠となる情報を拾い、分類・整理します。
心がけたいこと
- アイデア勝負ではなく、与件文に根拠を求める
試験では、「与件から論理的に導いた解答」が評価されます。 - 切り口の柔軟さを持つこと
与件文を読み進めていく中で、最初の切り口が合わないと感じたら、迷わず修正しましょう。 - 因果関係を意識する
原因 → 結果という流れを意識しながら、キーワードを拾っていくと整理しやすくなります。
整理表の例
以下は、先ほどの例題に対応した仮の整理表です(与件文から得られる情報をもとに):
| 切り口 | 与件からの情報例 | 備考・注意点 |
|---|---|---|
| 行動(提案) | 製品ニーズに基づく新企画・製造、生産計画の頻度向上、設備洗浄の標準化 | 最初は提案の種類を広くメモしておく |
| 影響 | 顧客ニーズ対応、高付加価値製品化、予測精度向上 | 提案と影響を結びつけて整理する |
| 結果 | 売上UP、コスト削減(原材料費・人件費)|QCD観点で整理 | “結果”だけでなく、何をもって成果とするかを明確にする |
このように、切り口に対応する材料を整理していくことで、後の記述段階で使う“骨格”が固まっていきます。
ステップ 3:解答記述(30分)
整理した材料を、読み手に伝わるような文章にまとめます。ここでは「論理の流れ」と「簡潔さ」が大きな差になります。
書き方のポイント
- 因果関係を明示する
「この提案をする → その結果こうなる」という流れが自然に見えるよう書きます。 - 切り口の順序を守る
仮置きした切り口(例:行動 → 影響 → 結果)をそのまま使って展開すると、一貫した流れになります。 - わかりやすく、端的に
冗長な言い回しや重複を避け、簡潔な文章を心がけます。
文章例(整理した情報をもとに)
① 製品ニーズをもとにした企画・製造を行い、顧客要求に応える高付加価値化を図る。
② 生産計画頻度を上げて需要予測精度を高め、原材料費低減を実現。
③ 設備洗浄を標準化し、リードタイム短縮と人件費削減を図って収益性を改善。
このように、3つの提案を「因果でつなぐ」形にまとめられれば、読み手にストレスなく内容が伝わります。
全設問を「並行進行」で進める理由
前述のステップを、一つの設問に終始するのではなく、すべての設問を並行して進めるのが実践的で効率的です。以下のようなメリットがあります。
- 設問の切り口同士の整合性を意識できる
- 与件文中のキーワードをどの設問で使うか比較できる
- 時間配分がしやすく、バランスを取りやすい
この方法を採ることで、設問ごとに“バラバラな答案”にならず、全体としての一貫性が保たれます。
解答プロセス見直しの3つのポイント
ある一定点数(例:55点あたり)で伸び悩む受験生は少なくありません。
その壁を突破するには、解答プロセスそのものを見直すことが非常に有効です。
以下の3つの視点を持って、プロセスを点検してみてください。
視点 1:各ステップに紐づけて課題を洗い出す
ただ答案を振り返るだけでは成長は限られます。
むしろ、「設問解釈・与件整理・記述」の各段階ごとに、なぜミスしたかを明らかにし、具体的な改善策を考えるべきです。
たとえば:
- 設問解釈で「制約条件を見逃した」
- 与件整理で「根拠を拾い切れていない」
- 解答記述で「論理の飛躍」「冗長表現」
これらを「なぜ起きたか」「どう防ぐか」「次の手順にどう落とし込むか」を一つひとつ振り返り、改善策を手順に組み込んでいきましょう。
また、過去問集の模範解答や解説を、自分のプロセスと比較することも効果的です。独学だとどうしても視野が狭くなりがちなので、他者の思考を取り入れることが成長につながります。
視点 2:プロセスを簡略化し、時間の余裕をつくる
時間の余裕は答案の質を左右します。
たとえば、10分の余裕があれば、「もう一つキーワードを拾える」「解答を推敲できる」などの改善が可能になります。
そのためには、
- 目的が説明できない手順を疑う
- 形だけ真似ている手順を省く
- 完璧を求めすぎない
という発想が重要です。
「形だけ取り入れた」手順ではなく、「なぜその手順をやるか」を理解して使うようにしましょう。
視点 3:さまざまな事例で使えるか検証する
特定の過去問にだけ通用するプロセスでは、本番で通用しません。
どんなテーマ・形式にも対応できる“汎用的なプロセス”であるかどうかを、実際の事例で検証すべきです。
この検証方法として有効なのが 縦解き です。
縦解きとは、同じ科目を複数年度続けて解く学習法です。
科目内で出題される論点や形式の変化に対して、プロセスの適用力を試すことができます。
目安として、5年分の過去問で縦解きを行い、安定して使えるプロセスを育てていきましょう。
まとめ ― 解答プロセスを武器に変える
これまでの内容を“実践的に使うためのチェック表+心得集”としてまとめます。
以下をもとに、自分のプロセスを点検・ブラッシュアップしてください。
総まとめ:プロセスの流れとポイント
| ステップ | 主な内容 | 成否を分けるポイント |
|---|---|---|
| 設問解釈 | 意図・制約条件を把握、切り口を仮置き | 制約条件を見落とさない、切り口の選び方 |
| 与件整理 | 与件文から材料を拾い、分類・整理 | 根拠重視、切り口の柔軟性、因果整理 |
| 解答記述 | 整理した材料を論理的に文章化 | 因果の明示、順序の整合性、簡潔性 |
| 見直し | 誤字脱字・論理チェック・抜け漏れ確認 | 制約遵守、根拠使用、表現の過不足 |
| プロセス見直し | 各ステップの課題分析、簡略化、汎用検証 | 各段階の失敗原因明確化、手順の意味が説明できるか、縦解きによる実践力チェック |
要点
- 「制約条件を読み落とさない」ことが根本の評価を左右する。
- 切り口は“仮置き”であり、与件を見ながら柔軟に修正してOK。
- 与件文から取る材料は必ず根拠を重視する。
- 因果関係を意識して流れをつなぐ表現を心がける。
- 冗長な表現や重複を排し、簡潔性を追求する。
- 余裕時間(10分程度)を確保できるよう、無駄な手順をそぎ落とす。
- 過去問を解いた後は、答案の良し悪しよりも「なぜ良/悪かったか」を各ステップで振り返る。
- 手順を単に真似るのではなく、「なぜやるか」を理解して使う。
- 何年分もの異なる事例でプロセスを試し、汎用性を育てる。
実践チェックリスト(自分で使える形)
以下は、あなたが過去問演習後にプロセスを振り返るためのチェックリストです:
- 設問解釈
- 制約条件は読み落としていなかったか?
- 切り口は適切か?
- 与件整理
- 与件から根拠を拾ったか?
- 切り口通りに情報を整理できたか?
- 因果関係を意識できたか?
- 解答記述
- 提案 → 影響 → 結果の流れは自然か?
- 簡潔で論理的な表現か?
- 冗長・重複を避けているか?
- 見直し
- 制約条件に反していないか?
- 誤字脱字がないか?
- 論理飛躍や抜け漏れがないか?
- プロセスそのものの振り返り
- どのステップで自分がミスしやすいか?
- 手順を簡略化できる部分はないか?
- 他の年度・他の事例でも使えるか試したか?
あとがきに代えて:あなたの「型」を育てよう
この記事を通して、解答プロセスの意味と使い方を再整理しました。
ただ知識を増やすだけではなく、それを「使える形」でアウトプットする力が、合格・得点の差になります。
まずは誰かのプロセスを真似して少しずつあなた自身の「型」に合わせて変えていってください。
そして、過去問を繰り返す中でプロセスを磨き、最後には本番では“プロセスに忠実に粛々と対応する力”を身につけましょう。


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